PyCon JP 2025 座長の日報 ホームに戻る

「とにかくやる」の多様な形

2025年04月27日

PyCon JP 2025 座長 @nishimotz が個人として公開する日報です。

PyCon JP 2025 は9月26日・27日に広島国際会議場で開催されます。

English version is available here

「とにかくやれ」の前に

イベント準備を進める中で、時に立ち止まってしまうことがあります。何をすべきか迷ったり、最初の一歩を踏み出せなかったり。主催メンバーの皆さんも、そんな経験があるかもしれません。

以前、私が引用したことのある桜井さんの動画「ゲーム作るには」には「とにかくやれ」というエピソードが登場します。自らを鍛えるのは、成功に近づくのは、手数だ、という主張です。たくさん試行錯誤することで、成長し、成功への道が開けるという考え方です。

YouTube 動画 「桜井政博のゲーム作るには」から とにかくやれ!!【仕事の姿勢】 を紹介します。



この「とにかくやれ」というメッセージは力強いものですが、座長として、ここに一言付け加えたいと思います。

「とにかくやれ」が機能するための前提

「とにかくやれ」と言われても、すぐには動けないことがあるのは自然なことです。そして、この言葉が本当に力を発揮するためには、いくつかの前提条件があると考えています。

前提1: やめる・休む・離れる権利

PyCon JP 主催メンバーには、いつでもやめたり、逃げたり、休んだりする権利があります。座長である私はそれを心から尊重します。「とにかくやれ」は「無理してでもやれ」という意味ではありません。完璧じゃなくていい、失敗してもいい、小さな一歩からでいい、そんな気持ちで取り組める環境があってこそ、「とにかくやる」ことができるのだと思います。

前提2: 成功や成長を必須としない

主催メンバーひとりひとりが「成功したい」「成長したい」と思っていなくてもいいのです。もちろん、そういった目標を持つことは素晴らしいことですが、それを必須とはしません。プレッシャーを感じずに、自分のペースで活動できる雰囲気を大切にしたいと思っています。

前提3: 一人でやる必要はない

「とにかくやれ」は「一人でやれ」という意味ではありません。チームや座長、他のメンバーに助けを求めて良いのです。相談して良いのです。むしろ、困ったときこそ、周りの力を借りることで道が開けることがあります。

リーダーと主催メンバーの関係

以前の記事「主催メンバー勉強会を構想する」で触れた「2-6-2の法則」を踏まえると、チームには様々なタイプのメンバーがいます。リーダーは、積極的に行動するメンバー、状況に応じて行動するメンバー、慎重に行動するメンバーそれぞれの特性を理解し、尊重することが大切です。「とにかくやれ」と促す際も、メンバーの個性に合わせたアプローチが必要でしょう。時には具体的な指示が必要な場合もあれば、自主性を尊重して見守ることが適切な場合もあります。

「とにかくやる」の多様な形

「とにかくやる」とは、必ずしも最初に考えた通りに突き進むことだけを意味するわけではありません。私自身が経験した例を共有します。

ある課題をチームリーダーに託すとき、私は「決める」「決め方を決める」「決め方を決める人を決める」などの選択肢を提示しました。そのリーダーは考えた末に「チームリーダーから座長チームに担当を戻す」という決断をしました。その理由も根拠と共に私に伝えてくれました。

私はその決断を納得し、受け入れました。この仕事は前に進んだでしょうか?実は、進んだのです。この決断があったからこそ、私は昨日の記事「人に合わせて組織を作る」という考えを言葉にすることができました。

これこそが「とにかくやる」の一つの形なのです。状況を判断し、根拠を持って「やらない」「やり方を変える」「担当を戻す」と決めることも、立派な「行動」であり、「前に進める」ことなのです。

困ったときは

もし今、何かのタスクで立ち止まっていたり、前に進めなくて困っていたりするなら、以下のことを試してみましょう:

  1. タスクをもっと小さく分解してみる
  2. 誰かに相談してみる(座長の私でも構いません)、オンラインミーティングを提案する
  3. 生成AI相手に状況を言語化してみる(自分の考えを整理するのに役立ちます)
  4. 「これはやらない」「やり方を変える」という決断も、一つの選択肢として考えてみる

決断することも「やる」ことの一つです。そして、その決断が新たな気づきや進展につながることもあります。以前の記事「決断を先送りにするな」でも触れたように、適切な決断は仕事を前に進める重要な要素です。

ツールとの付き合い方

「とにかくやれ」という言葉は、時にツールによって強化されることがあります。例えば、以前の記事「チケットシステムとの付き合い方」で触れたように、チケットシステムは時に圧力を感じさせるツールになりかねません。

しかし、私はチケットシステムを「やれ」と圧力をかけるツールとして使うつもりはありません。それは考えたこと、決めたこと、やったことを記録に残す手段の一つであり、特に会計やセキュリティに関する証拠を残す必要がある場合は、義務のようなものとなります。

ツールが使えないこと自体は問題ではありません。誰かに助けてもらえばいいのです。大切なのは、ツールに振り回されるのではなく、私たちがツールを使いこなすという姿勢です。ツールは人のためにあり、その逆ではないのです。

主催メンバー募集

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